サイドフローとトップフロー、両方使った — 風魔弐と超天
PR — この記事にはアフィリエイトリンクを含みます。 レビューしている製品は、筆者が実際に購入して使用したものです。 使っていない製品に触れる場合は、その旨を明記します。 対価を受け取って特定の製品を推奨することはしていません。
リテールクーラーが足りなくなるとき
CPU に付属するリテールクーラーは、**「定格で動かす分には足りる」**ように作られています。 ブラウザを開いてオフィスソフトを使う程度なら、これで何の問題もありません。
足りなくなるのは、全コアに長時間の負荷をかけたときです。
筆者の場合は動画編集でした。 書き出しを始めると全コアが張り付き、数分から数十分その状態が続きます。 リテールクーラーでは温度が上がりきってしまい、 クロックが落ちて処理が遅くなる(サーマルスロットリング)状態になりました。
そこで i7-9700 に サイズの風魔弐(ツインタワー・サイドフロー)(購入時 5,529円)を載せました。 別のマシンの i5-8400 には、後から 超天(トップフロー)(購入時 3,149円)を使っています。
方式の違う2つを両方使ったので、その比較を書きます。
風魔弐は現在終売です。 現行モデルは 風魔参(FUMA3) になります。 超天も新品の流通が少なくなっています。 以下の話は方式の違いが主なので、現行モデルでも大枠は変わりませんが、 寸法と対応ソケットは必ず現行品の仕様で確認してください。
この記事が向いていない人
- リテールクーラーで困っていない方 — 換える必要はありません
- オーバークロック前提の方 — この価格帯の空冷では上限があります
- 見た目を最優先する方 — どちらも光りません。実用一辺倒の製品です
サイドフローとトップフロー、何が違うのか
名前の通り、風を送る方向が違います。
サイドフロー(風魔弐)
ヒートシンクが縦に立ち、横方向に風を流します。 ケース背面の排気ファンに向かって、熱をそのまま押し出す形です。
- 冷却力が高い。 特にツインタワー型は表面積が大きく、熱容量に余裕がある
- ケースのエアフロー(前面吸気→背面排気)と方向が一致する
- 弱点: マザーボード上の他の部品に風が当たりません。 VRM(電源回路)やメモリ、M.2 SSD は、この風の恩恵をほとんど受けません
トップフロー(超天)
ヒートシンクが横に寝て、マザーボードに向かって吹き下ろします。
- CPU 周辺もまとめて冷える。 VRM、メモリ、チップセットに風が当たります
- 背が低いので、小さいケースに入りやすい
- 弱点: 熱がケース内に拡散します。 排気ファンへ直行しないので、 ケースのエアフローが弱いと熱がこもります
超天はリテールクーラーより明確に冷えました。 そのうえで VRM 周りにも風が当たるので、 「CPU の温度だけ下がって、周辺が熱いまま」という状態になりません。 数字に出にくい部分ですが、マシン全体の安定性としては効いていたと思います。
冷却力の絶対値ではツインタワーのサイドフローが上ですが、 「どこを冷やしたいか」で答えが変わります。
選ぶときに見る4点
1. ケースの幅(CPUクーラー高さ制限)
ここを外すと物理的に蓋が閉まりません。
ケースの仕様に「CPUクーラー最大高さ ◯mm」と書かれています。 サイドフローのツインタワーは背が高く、ミドルタワーでも当たることがあります。
トップフローは背が低いので、この制約では有利です。 小型ケースでツインタワーが入らない場合、トップフローが現実解になります。
2. メモリとの干渉
見落としやすいのがこれです。
ヒートシンク付きの背の高いメモリを使っていると、 クーラーのファンやフィンと当たります。 ファンの取り付け位置を上にずらして逃がすことになり、 その分クーラー全体の高さが増えて、今度はケースに当たるという連鎖が起きます。
背の低い(ヒートスプレッダのみの)メモリを選んでおくと、この問題自体が起きません。
3. 重量とマザーボードへの負荷
ツインタワーは重量があります。 バックプレートで固定するので落ちることはありませんが、 PCを立てて運ぶときは注意が要ります。 横倒しにして運ぶ、あるいは輸送時はクーラーを外す、という判断が必要になる場面があります。
4. ケース側のエアフローと方向を合わせる
サイドフローはケースの風の流れに乗せる前提の設計です。 前面吸気・背面排気が確保されていて初めて性能が出ます。
逆にケースファンがほとんど無い構成なら、 周囲をまとめて冷やすトップフローの方が結果が良いことがあります。
「サイドフローの方が高性能だから」という理由だけで選ぶと、 ケースによっては期待した差が出ません。
比較表
| リテールクーラー | 超天(トップフロー) | 風魔参(サイドフロー) | |
|---|---|---|---|
| 冷却力 | 定格運用まで | 中 | 高 |
| CPU周辺(VRM/メモリ) | 少し当たる | 当たる | ほぼ当たらない |
| 高さ | 低い | 低い | 高い(要確認) |
| 重量 | 軽い | 中 | 重い |
| 価格帯 | 付属 | 3千円台 | 5〜7千円台 |
| 向いている人 | 定格・軽負荷 | 小型ケース、周辺も冷やしたい人 | 長時間の全コア負荷 |
価格は購入時点のもので、変動します。風魔弐は終売のため、現行の風魔参で記載しています。
用途が変わっても、クーラーは残る
この記事で一番書きたいのはここです。
風魔弐を載せた i7-9700 のマシンは、もうメインPCではありません。 現在は Proxmox のノードとして24時間動いています。
用途が「短時間の高負荷(動画書き出し)」から「常時稼働の低〜中負荷」に変わったわけですが、 クーラーはそのまま使い続けています。むしろ今の方が向いています。
24時間動くマシンでは、冷却の余裕がそのままファン回転数の低さになります。
- 温度に余裕がある → ファンが低回転で足りる → 静か
- 低回転で回る → 軸受けの負担が減る → 寿命が延びる
一方、超天を載せていた i5-8400 のマシンは手放しました。 CPU もマザーボードも一緒に無くなりましたが、 クーラーという部品自体は、本来なら次のマシンに持ち越せるものです。
CPU は数年で買い替えます。マザーボードもソケットが変われば道連れです。 しかし空冷クーラーは壊れる要素がファンくらいしかなく、 対応ソケットさえ合えば次の世代でも使えます。 メーカーによっては、新しいソケット用のリテンションキットを別売りしています。
5,529円の買い物が、CPU 2世代分の期間にわたって使える。 自作PCのパーツの中では、かなり息の長い部類です。
使ってみて
風魔弐(サイドフロー)の良い点
- 全コア負荷を長時間かけても、温度が頭打ちにならなかった
- サーバー用途に転用した今は、静音側で効いている
- ファンが交換可能。将来ファンだけ替えれば延命できる
風魔弐の気になる点
- 大きい。 ケース内の作業スペースが減り、メモリの抜き差しがしにくくなる
- VRM に風が当たらない。マザーボードによっては別途考える必要がある
- 重い
超天(トップフロー)の良い点
- リテールより明確に冷えて、VRM 周りも一緒に冷やせる
- 背が低く、ケースを選ばない
- 3千円台という価格
超天の気になる点
- 長時間の全コア負荷では、ツインタワーに及ばない
- 熱をケース内に拡散するので、ケースファンが貧弱だと効果が落ちる
まとめ
- リテールクーラーが足りなくなるのは、長時間の全コア負荷をかけたとき
- サイドフロー = 冷却力。トップフロー = CPU 周辺もまとめて冷やす。目的で選ぶ
- 確認するのは ケースの高さ制限 / メモリとの干渉 / 重量 / ケースのエアフロー
- サイドフローはケースの風の流れが前提。ファンが少ないケースなら差が出にくい
- クーラーは CPU より長生きする。 用途が変わっても使い続けられる数少ないパーツ
自作PCのパーツは数年で陳腐化しますが、 空冷クーラーは方式と寸法さえ合っていれば古びません。 そう考えると、最初に少し良いものを選ぶ理由があると思っています。