自宅に19インチラックを入れた — 25U オープンフレームという選択

ホームラボ 2026年8月4日

PR — この記事にはアフィリエイトリンクを含みます。 レビューしている製品は、筆者が実際に購入して使用したものです。 使っていない製品に触れる場合は、その旨を明記します。 対価を受け取って特定の製品を推奨することはしていません。

床置きが限界になる日

自宅サーバーは、たいてい1台から始まります。 その1台は床か棚に置かれていて、それで何の問題もありません。

問題が起きるのは2台目からです。 積み重ねると下の機体の吸気が塞がり、横に並べると場所を食う。 電源ケーブルとLANケーブルが床を這い、掃除機がかけられなくなる。

筆者の場合、HPE の ProLiant が3台になった時点で限界でした。 どれもラックマウント型なので、そもそも床に置く形状をしていません。 耳(ラックマウント用のブラケット)が付いた1Uの箱を床に転がしているのは、 見た目の問題以前に、冷却と安全の面で無理があります。

そこで StarTech の 19インチ 25U 4ポスト オープンフレームラック(購入時 36,191円)を入れました。 この記事は、その選定と設置で分かったことです。

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オープンフレームを選んだ、身も蓋もない理由

19インチラックには大きく2種類あります。

選んだ一番の理由は、オープンフレームの方が安かったからです。

同じ 25U でも、密閉型は骨組みだけのものより明確に高くなります。 扉、側板、鍵、それらを支える構造の分だけ材料と製造コストがかかるので当然です。 自宅用に数万円で収めたいなら、この時点で選択肢はほぼ一つに絞られます。

そして実際に使ってみると、安いから妥協した、という話ではありませんでした。 自宅ではむしろオープンフレームの方が合っていた、という点が3つあります。

1. 冷却が単純になる

密閉型は、扉のパンチング穴やファンで風の流れを設計する前提の製品です。 データセンターのように前面吸気・背面排気の気流が確保されている環境なら正しく機能します。

自宅の一室にはその前提がありません。 扉を閉めれば熱がこもり、開けっ放しにするなら扉の意味がない。 オープンフレームなら、機体のファンが吸った空気がそのまま部屋の空気です。考えることが減ります

2. 搬入と組み立てが現実的

密閉型は組み上がった状態で数十kg あり、一人では動かせません。 玄関から部屋までの経路、ドアの幅、廊下の曲がり角が問題になります。

オープンフレームは支柱とレールに分解された状態で届いて、その場で組みます。 一人でも作業できます。

3. 作業しやすい

自宅サーバーは、データセンターの機材と違ってしょっちゅう触ります。 ディスクを足す、NICを挿す、ケーブルを引き直す。

側面が開いているオープンフレームは、背面配線に手が届きます。 密閉型で背面に回り込むには、ラック自体を壁から離す必要があり、そのためのスペースがまた要ります。

デメリットもあります。 埃はそのまま入りますし、鍵もかかりません。 小さい子どもやペットがいる家庭では、露出した配線が問題になる可能性があります。 そこは各家庭の事情で判断してください。

実際の搭載構成

現在の中身です。25U のうち埋まっているのは 10U で、4割ほどです。

U機材種別
21〜25(空き)
20MikroTik CRS309-1G-8S+10GbE スイッチ
18〜19Allied Telesis x510-28GTX ×2L3 スイッチ
17(空き)
16HPE ProLiant DL360 G7サーバー
15HPE ProLiant DL160 Gen9サーバー
14HPE ProLiant DX360 Gen10サーバー
6〜13(空き)
4〜5APC Smart-UPS SMT1500RMJ2UUPS
2〜3APC Smart-UPS SMT1200RMJ1UUPS

配置には理由があります。

UPS は最下段。 鉛蓄電池が入っているので、ラックの中で圧倒的に重い機材です。 重心を下げるために、重いものから下に積むのが基本です。 上段に置くと、地震のときにラックごと倒れる方向に働きます。

スイッチは最上段。 全機材からケーブルが集まる場所なので、 上に置くと配線を上から下ろす形にまとめられます。 サーバーの間に挟むと、ケーブルが前後に交錯して収拾がつかなくなります。

サーバーは中段にまとめる。 発熱源を1箇所に集めておくと、 熱の逃げ方を考えるのが楽になります。

空きは中央と上部に残す。 25U を選んだとき「大きすぎたか」と思いましたが、 埋まっていない 15U は無駄ではありません。 1台増やすたびにラックを買い直す方が、はるかに高くつきます。

買う前に測っておくべき3つの寸法

ここを外すと、届いてから詰みます。

1. 機材の「実奥行き」

19インチラックの規格が定めているのはであって、奥行きではありません。 1U のサーバーでも、奥行きは機種によって大きく違います。

そして本当に必要なのは、筐体の奥行きだけではありません。 背面に挿す電源ケーブルとLANケーブルの曲がり代が要ります。 コネクタは真っ直ぐ後ろに出るので、実際には筐体長 + 数cm を見ておく必要があります。

筆者が選んだのは奥行きを前後に調整できるタイプでした。 DL360 G7 と DX360 Gen10 では、同じ 1U でも奥行きが違います。 世代の違うサーバーが混在する環境では、この調整幅が効きます。

調整できる範囲はモデルによって違います。手持ちの機材の実測値と照らして選んでください。

2. 部屋の搬入経路と設置後の前後スペース

高さ 25U はおよそ 1.2m 前後になります。 これ自体は天井に当たりませんが、組み立て時に一度立てることを忘れないでください。

設置後も、前面と背面に人が入れる隙間が要ります。 壁にぴったり付けると、背面のケーブルに手が届かなくなります。

3. 床の耐荷重

ラック本体だけなら大した重量ではありません。 問題は中身です。1U のサーバーは1台あたり十数kg あり、それが数台載ります。

そしてUPS が効いてきます。鉛蓄電池は非常に重く、 上の構成では 2台で相当な重量を最下段に集中させています。

集合住宅や木造の2階に置く場合は、設置面積の狭いラックに重量が集中する点に注意してください。 一点集中を避けたいなら、下に板を敷いて荷重を分散させる方法があります。

ケージナットという小さな罠

19インチラックの支柱には四角い穴が並んでいて、そこにケージナットを嵌めてネジを受けます。 これを知らずにラックだけ買うと、機材を固定できません。

注意点が3つあります。

  1. ラック本体に必要数が付属するとは限りません。 筆者は後から M5のケージナット を買い足しました
  2. サイズを確認してください。 M5 と M6 があり、混同すると使えません
  3. 素手での着脱は指を切ります。 板バネの縁が鋭く、力もかかります

3つ目については ケージナット用の着脱工具 が売られています(筆者は未使用)。 工具が無い場合は、最低でもマイナスドライバーを使ってください。素手は勧めません。

安価な消耗品ですが、これが無いと1台も固定できません。ラックと同時に注文しておくのが確実です。

電源をどう取るか

ラックに機材を入れると、電源コネクタの数が一気に増えます。

自宅ラックでは、ラック用の PDU(電源分配ユニット)は必ずしも必要ありません。 PDU は高価で、200V 対応や電流計測など、家庭では使わない機能が多く含まれます。

筆者は 市販の電源タップ を使っています。 選ぶときに見たのは次の点です。

分電盤の容量にも注意してください。サーバーは起動時に大きな電流を引きます。 同じ系統にエアコンや電子レンジがあると、ブレーカーが落ちる可能性があります。

入れてみて分かったこと

良かった点

想定より厳しかった点

まとめ

ラックを入れて一番変わったのは、機材を触るときの心理的なコストでした。 床から1台引っ張り出すのと、正面から抜くのとでは、検証を始めるまでの腰の重さが違います。