30Wの温調なしはんだごてで詰まって、HAKKO FX600 に替えた
PR — この記事にはアフィリエイトリンクを含みます。 レビューしている製品は、筆者が実際に購入して使用したものです。 使っていない製品に触れる場合は、その旨を明記します。 対価を受け取って特定の製品を推奨することはしていません。
「W数は足りているはずなのに、溶けない」
電子工作を始めたとき、最初に買ったのは温度調節の付いていない 30W クラスのはんだごてでした。 安いし、小さい部品なら普通に付きます。
詰まったのは、太い線材とベタ面のあるパターンを扱い始めてからです。 こて先を当てても、はんだが溶けきらない。 時間をかけて押し付けると、今度は部品の方が熱でやられそうになる。
結局、ダイヤル式で温度制御できる HAKKO FX600 に買い替えました(購入時 3,703円)。 この記事は、その買い替えで何が変わったのかと、 これから選ぶ人が見るべき点を書いたものです。
この記事が向いていない人
- すでにステーション型(FX888D など)を使っている方 — 上位の話は書けません
- 年に数回しか使わない方 — 温調なしの安価なこてで十分に足ります。買い替えを勧めません
- 鉛フリーはんだで量をこなす方 — より熱容量のあるものを検討した方がいいと思います
そもそも「パワー不足」とは何が起きているのか
ここを誤解していると、W数の大きいこてを買っても同じ失敗をします。
はんだ付けで効いているのはこて先の温度であって、W数そのものではありません。 W数が意味を持つのは、熱を奪われたときに、どれだけ速く温度を戻せるかという点です。
- 小さな部品と細い線 → 奪われる熱が少ない。安価なこてでも温度が下がらない
- 太い線材、ベタGND、大きなランド、金属ケース → 熱がどんどん逃げる
温調なしのこては、こて先の温度が下がっても戻す仕組みがありません。 下がりっぱなしのままはんだを当てるので、溶けきらない。 そこで長く押し付けると、今度は基板や部品にダメージが入ります。
温度制御付きのこては、こて先の温度を検出して設定温度に戻そうとします。 「W数が大きい」ことより、この熱回復があることの方が体感差として大きい、というのが買い替えての実感です。
FX600 にしてからは溶ける速さが段違いで、待ち時間が少なくなりました。
選ぶときに見る3点
1. 温度制御が付いているか
最優先です。W数の比較より先にここを見てください。
温度制御が付いていれば、扱う対象に応じて温度を変えられます。 細かい部品では低めに、太い線材やベタ面では高めに、と使い分けができます。
温調なしのこては「そのこてが出せる温度」しか出せません。 安いものを2本買うより、温調付きを1本買う方が結果的に安く済みます。
2. こて先が入手しやすいか
こて先は消耗品です。 使っていると酸化して、はんだが乗らなくなります。
HAKKO は交換用こて先の種類が多く、入手性も良いのが利点です。 先端形状(B型の円錐、D型のマイナス、C型の斜めカットなど)を作業に合わせて選べます。
無名メーカーの安価なこては、こて先が手に入らなくなった時点で本体ごと寿命になります。 本体価格だけで比較すると、この点を見落とします。
3. 立ち上がりの速さ
電源を入れてから使えるまでの時間です。 短時間の作業を頻繁にやる人ほど効いてきます。
立ち上がり時間と温度範囲は型番によって差があります。購入前にメーカーの仕様を確認してください。
比較表
| 選択肢 | 価格帯 | 温度制御 | こて先の入手性 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 温調なし 20〜30W | 千円台 | なし | 製品による | 年に数回。細かい部品だけ |
| HAKKO FX600(ダイヤル式) | 3〜4千円台 | あり(ダイヤル) | 良い | 電子工作を続ける人。迷うならこれ |
| ステーション型(FX888D など) | 1万円前後 | あり(デジタル) | 良い | 頻繁に使う人。温度を数値で管理したい人 |
価格は購入時点のもので、変動します。
HAKKO FX600 を使ってみて
良い点
- ダイヤルで温度を変えられる。作業対象に合わせて上げ下げできるのが一番の違い
- こて先の交換が容易で、種類も選べる
- ステーション型と違って本体が場所を取らない。ケーブル1本で完結する
- 温調なしからの乗り換えとしては、価格が現実的
気になる点
- ダイヤル式なので、設定温度が数値として正確に読めるわけではない。おおよその目盛り
- ステーション型のような温度の即時表示はない
- こて台は別途必要。本体だけ買うと最初の作業で困る
向いている人: 温調なしのこてで一度でも「溶けない」経験をした人。
一緒に要るもの
こて本体だけ買っても作業は始められません。 以下に挙げるものは、筆者が同じ製品を使っているわけではありません(こて本体以外は別途調達したものです)。 HAKKO 純正で揃えたい場合の参考として、対応する製品を挙げておきます。
- こて台 — 必須です。転がすと火災リスクがあり、こて先も傷みます
- 交換用こて先 — 消耗品。作業に合う形状を1〜2種類。写真は 2C 型(斜めカット)
- はんだ — 太さで使い分け(細い方が小さい部品に向きます)
- フラックス / こて先クリーナー — こて先の寿命が変わります
まとめ
- 「パワー不足」の正体は W数ではなく、熱を奪われたときに温度を戻せないこと
- 選ぶときは 温度制御 → こて先の入手性 → 立ち上がり の順で見る
- 温調なしを2本買うより、温調付きを1本
- 本体だけでは足りない。こて台とこて先は同時に用意する
安価なこてが悪いわけではなく、扱う対象が変わると足りなくなるという話です。 細かい部品しか触らないなら、買い替える理由はありません。
工具まわりでは、第二種電気工事士の技能試験に1回落ちて、次で受かった も書いています。